国家公務員のなり手が変わっていく…東大から地方国立・私立大の出身者に

仕事の環境

中央省庁への入省希望者の異変

東京大学の学生が国家公務員になりたがらなくなっている。国家公務員試験自体を受けなくなっているし、入省希望数が減っていると聞く。東大生が少なくなったとしても、各省庁では人を取らないと仕事が回らないため、代わりに地方国立大学や私立大学の出身者が合格して入省していくという。

これはこれで、公務員の多様性が広がるという意味では、アリなのかもしれない。今まで東京大学をはじめ特定の大学を卒業した人が大半を占めている組織というのは歪であったのであるから。

官僚の質的な能力低下は否めない

一方で、官僚の質的な低下が否めない。地方国立大学や私立大学の質が低いと言いたいのではない。やはり、東京大学の学生は他の大学と比較して、平均するとずば抜けているのだと感じているが、それが崩れていくということであろう。

つまり、個々の人ではなく、平均的に見れば、確実に能力は低下していく。それ故、各省庁の政策立案能力などは低下するのは確実であろう。

ここ数年間を見ていても、それは実感するところである。何より今はまさに国家公務員の働き方の改革の時期であり、無理がきかない。この時期に無理をしようものなら、より一層能力の高い人は外に行ってしまうであろう。

昔、米国では、優秀な学生はスタートアップを起業する、その次はスタートアップ企業へ就職、さらにその次は大手民間企業に就職すると言われていた。公務員になるのは三流であると…。一方の日本では優秀な学生ほど公務員になる…などと言われていた。

それがここ数年の間に、米国的になってきたようにも見える。優秀な学生なのに公務員になってしまうと、ブラックに働き、給料も少なくて、マスメディアなどからボコられ続けなくてはならないのか…。そう学生が考えるようになってきたということであろう。

割に合わない職種、保障がない出口

普通に考えると、割に合わない職種である。安定している?本当か?少ない給料で30年勤めても、その後の生活が保障されるような世の中ではなくなっている。公務員として安定して働き続けても出口が怪しい。

であるならば、優秀な頭脳をフルに使って、民間で、若いうちに一旗あげた方が老後の心配も少ないのかもしれない。可能性があるのかもしれない。そう若者は思っているのかもしれない。

いずれにしても、国家公務員の平均的な質は下がっていくであろう。代わりに多様性は増える。その中で、質が下がることを懸念するよりも、多様性が増して、今までには無い新しい取り組みが出てくるようになることに期待したい。

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