コンサル時代に教わった 仕事ができる人の当たり前
「成果を出す人」は、何が違うのか?──現場で磨かれた“思考の型”が、あなたの仕事を変える。
導入:お題が降ってきた瞬間、あなたの資質はバレている
コンサルタントとして、あるいはプロフェッショナルなビジネスパーソンとして、あなたの資質と信頼性が試される瞬間があります。それは、前例のない、難易度の高い「お題」が上司や顧客から降ってきた、最初の5秒間です。
本来、コンサルティングの仕事とは、「今までやったことがない」こと、「誰も答えを知らない」ことを、あなた自身の頭とスキルで「何とかする」ことに価値が生まれます。
それにもかかわらず、仕事の依頼を受けた瞬間に、まるで反射のようにこう返す人がいます。
「その仕事のやり方を説明してもらわないと…」
「この案件のフォーマットを提示してもらわないと動けません…」
厳しい言い方をしますが、その一言を発した瞬間に、発注者や上司からのあなたの評価はゼロになります。
あなた、それでもコンサルタントですか?そのスタンスでは、この世界で生き残ることはできません。
本記事では、なぜこの「待ち」のスタンスが致命的なのかを解説し、信頼を勝ち取るための「初動の3ステップ」を提示します。
1. なぜ「やり方を教えて」は即退場レベルの致命傷なのか
このスタンスが問題なのは、単に能力が低いからではありません。これは、「仕事の受け止め方」という、コンサルタントの根幹に関わる致命的なエラーを示しているからです。
致命傷1:価値観の否定
顧客がコンサルタントに高額なフィーを払うのは、「フォーマット」や「マニュアル」を買うためではありません。彼らが本当に欲しいのは、「不確実な課題を受け止め、自分なりの解決の道筋を描き出す能力」、つまり「安心感」と「解決へのドライブ力」です。
「やり方を教えて」という返しは、「あなたの課題を解決するために、私が頭を使って方法を考えます」というコンサルタントの最も重要な約束を、自ら放棄しているに等しいのです。
致命傷2:作業請負人への降格
「やり方を説明してくれればやります」というスタンスは、あなたの役割を「頭脳」から「単なる手足」、つまり作業請負人へと降格させます。作業者は指示を待つのが仕事ですが、コンサルタントは指示を出し、プロジェクトをリードするのが仕事です。
二度とあなたに「解決策を見いだせるかもしれない」という期待をもって、難しい仕事を発注してくれる人はいなくなるでしょう。これは、あなたのキャリアの成長エンジンが止まる瞬間です。
致命傷3:逃げのメッセージ
あなたの意図がどうであれ、この言葉はオーダー主に「私はこの難しい仕事から逃げたい」「やりたくない」というメッセージとして受け取られます。
本当に仕事の難易度が高いのなら、そのエネルギーを「やり方を尋ねる」のではなく、「どうすれば進められるか」という解決策の提案に使うべきです。
2. 信頼を勝ち取るための絶対条件:「受け止める」初動の3ステップ
では、仕事の依頼が来たとき、コンサルタントとして、またプロとして一瞬で信頼を勝ち取るために必要な「初動のスタンス」はどうあるべきでしょうか?
やるべきことは、極めてシンプルです。
ステップ | アクション | 意識すべきこと |
---|---|---|
Step 1. 受容(Yes) | まず即座に「承知いたしました。やらせていただきます」と伝える。 | 思考停止で「はい」と言うのではなく、「どうにかする責任を私が負う」という覚悟を伝える。 |
Step 2. 仮説構築(And) | その場から動かず、依頼内容から進め方の「自分なりの仮説」と、最終アウトプットのイメージを5分で考える。 | 誰かに聞く前に、まず自分の頭で考える。この「自分で考える習慣」こそが、資質の差になる。 |
Step 3. 方法の提案(Lead) | オーダー主に対して、「この方向性(たたき台)で進めますが、いかがでしょうか?」と、方法を逆提案する。 | 指示を仰ぐのではなく、自分がイニシアチブ(主導権)を取る姿勢を見せる。 |
「資料がない」「前例がない」は、すべて「自分で作り出すチャンス」です。この3ステップを徹底すれば、あなたは経験不足を補って余りある「安心感」と「信頼感」を顧客や上司に与えることができます。
結論:20代・30代こそ、そのスタンスを捨てろ
もしあなたがまだ若手であるなら、これは最高の成長機会です。スキルが未熟でも、この「何とかする」というスタンスと行動力が、あなたを周囲から際立たせ、難しい仕事を呼び込みます。
しかし、もし30代、ましてやシニアになっても「やり方を教えてくれ」というスタンスを続けている人がいるとすれば、それは極めて厳しい現実を意味します。
残念ながら、日本の企業には、この「指示待ち・責任回避」の姿勢を改められない人材を、組織の都合で滞留させてしまう体質が未だに残っています。そして、このような人材が組織の代謝を悪くし、日本全体の生産性低下、ひいては経済の沈滞を招いているのです。
コンサルタントは「信頼」があって初めて成り立ちます。
二度と信頼を失わないために、そして自らのキャリアの未来を切り拓くために、今日から仕事の降られ方に対する最初のスタンスを変えてください。あなたの未来は、あなたが最初の5秒間で示す「姿勢」にかかっています。
コンサル時代に教わった 仕事ができる人の当たり前
「成果を出す人」は、何が違うのか?──現場で磨かれた“思考の型”が、あなたの仕事を変える。
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