憧れのコンサル、その実態は「単なる作業員」?元・事業会社社員が語る残酷な真実

仕事の環境

コンサルティングファーム。

地頭が良くて、高給取りで、エリート中のエリート。学生の皆さんの中には、そんな華やかなイメージに憧れを抱いている人も多いのではないでしょうか。

今回は、そのキラキラしたイメージとは少し違う、コンサルの「もう一つの顔」についてお話ししたいと思います。

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事業会社の「本音」:コンサルは最高の『便利屋』だ

事業会社、特に経営企画部門にいた私の視点から見ると、コンサルタントは、失礼を承知で言えば「単なる作業員」に過ぎませんでした。

もちろん、彼らのロジックや分析能力は素晴らしい。しかし、私たちが彼らに求めていたのは、上から目線の戦略提案ではありません。

  • 金曜日の夜に依頼し、月曜の朝までに仕上げてもらう資料
  • 社内の誰にも頼めないような、膨大で細かすぎるリサーチ作業
  • 無茶な締め切りでも「できません」と言わない、圧倒的な作業量

これらは、事業会社内部でやれば「パワハラ」と言われかねないような、いわば「社内の誰もやりたがらない作業」です。

しかし、発注者と受注者という関係性があるコンサルタントには、それができてしまう。どれだけ優れたロジックや最新の情報を持っていても、それはあくまで「机上の資料」。実際に事業を動かしているのは私たち事業会社であり、コンサルへのリスペクトは、残念ながらそれほど高くありません。

戦略だけでは通用しない。現場で求められる本当のスキル

学生の皆さんは、コンサルと聞くと、完璧なロジックで整理された「ピカピカの資料」を作り、有識者として尊重される姿を想像するかもしれません。しかし、現実のプロジェクトはそう単純ではありません。

どんなに正しい戦略やファクトを提示しても、顧客側の個別事情や感情がすべてに優先します。時には、理不尽なダメ出しを食らうことも日常茶飯事です。

ここで「ロジックが正しいのに、なぜ?」と戦ってしまうと、プロジェクトは頓挫します。

コンサルティングで本当に重要なのは、資料の美しさやロジックの正しさだけではありません。

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必要なのは「ロジック」より「受け流す力」と「誘導力」

コンサルとして成功するためには、ある意味での「いい加減さ」で理不尽な状況を受け流すスキルが求められます。

そして、それ以上に重要なのが「誘導力」です。

顧客が感情的にダメ出しをしたとしても、それをすべて聞き入れた上で、あたかも「顧客が自分で正しい戦略を思いついた」と錯覚させるような巧みな誘導が必要になります。

  • 「〇〇様のおっしゃる通り、この部分は少し抽象的すぎましたね。では、このデータをこのように見せ方を変えてみましょうか?」
  • 「そうですよね。やはりこの方向性よりも、〇〇様が以前お話しされていたB案の方が、より現実的かもしれませんね。」

このやり取りは、まるでダメなわが子をあの手この手で正しい道に導く親のようです。地頭の賢さだけでなく、相手の感情を読み取り、信頼関係を築きながら、長期的なゴールへ向かうよう促す総合的なコミュニケーション能力が問われるのです。

輝くキャリアの裏側。コンサルを目指す学生への提言

コンサルは、単なる「戦略家」ではなく、顧客の課題を解決するために泥臭い作業も厭わない「スーパー作業員」であり、同時に顧客の心を動かす「優れた誘導者」でなければなりません。

もしあなたがコンサルティングファームを目指すなら、ピカピカのロジックだけでなく、顧客の理不尽さを受け流すタフさと、相手の感情を動かす人間的な魅力も磨く必要があります。

この仕事の裏側にある現実をどう捉え、それでも挑戦したいと思えるか。それが、あなたにとってのコンサルティングという仕事の本質的な問いになるでしょう。

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