はじめに:AIで変わるワークスタイル
いま、コンサルティングの現場でもAIツールの活用が当たり前になりました。
ChatGPT、Claude、Perplexityを使ったディープリサーチ。
Notion AIやBeautiful.AI、Gammaなどのスライド自動生成ツール。
「検索してまとめる」「資料に落とし込む」という手間は、以前と比べものにならないほど削減できます。
「若手に指示しなくても、AIに投げればリサーチが返ってくる」
「スライドもAIがそれっぽく作ってくれる」
こんな便利な時代、もう人間の仕事は要らないのか?と思いたくなるほどです。
AI駆動マーケティング 業務効率化を超える生成AI実践術
2022年末にChatGPTが登場してから一気に進化している生成AI。生成AI技術の発展は、マーケティング業界にも大きな変化をもたらしています。
AIで差をつける! ChatGPT-4o活用術: 士業・コンサルのための AI活用ガイド
「AIで差をつける!ChatGPT-4o活用術 士業・コンサルのためのAI活用ガイド」は、士業やコンサルティング業務における最新のAI技術、特にChatGPT-4oの具体的な活用方法とその効果を紹介するガイドブックです。
現場で起きている使い方の変化
昔は、若手が夜中まで調べものをして、情報を取捨選択し、ExcelやPowerPointを血で染めるように整えたものです。
泥臭くても、その過程で「どこが論点か」「何が不要か」「どう見せるか」を考え抜く力が鍛えられました。
今はどうでしょう。
AIに「◯◯業界の市場動向をまとめて」「この内容をスライドにして」と指示すれば、一瞬で資料が出てきます。
初期ドラフトを作る時間は激減。スピード感は間違いなく武器です。
成功するケース
もちろん、こうしたAIツールを賢く使えば、大きな競争優位になります。
例えば:
- 最初のたたき台を爆速で作り、上流の戦略設計やストーリー検討に時間を使う
- 反復サイクルを短縮し、クライアントとのコミュニケーションを密にする
実際、上手に使いこなすコンサルチームは増えています。
AIを「雑用を肩代わりするパートナー」にして、本質的な課題解決にフォーカスする。
これは理想的な姿です。
危ういケース
しかし、現場では別の光景も目にします。
AIが生成した「リサーチまとめ」「スライド」をそのまま提出物にする若手。
ソースの裏取りもせず、重要性も優先度も検証せず、AIの言葉をコピペ。
スライドは見た目が美しくても、問いが浅く、論理が飛躍している。
上司レビューで「何これ、根拠は?」「問いがずれてる」と総崩れ。
「これ、どこから拾った情報?」「本当にこの論点が重要?」と詰められてフリーズ。
AIが便利になればなるほど、むしろ問いを立て、情報を構造化する力が問われる。
でも、その「基礎トレーニング」をAIが奪ってしまう危険があるのです。
事例:スライドジェネレーターの落とし穴
あるプロジェクトで、AIスライドジェネレーターを使った若手がいました。
「クライアント向けに素早く図解を整えました」と出してきた資料は、たしかに見た目は立派。
でも中身は:
- 大量のバズワード
- 課題の本質を捉えない表層的分類
- クライアント業界の現実と合わない汎用的フレームワーク
「君、これ本当にクライアントの課題を理解してる?」
「どの問いに答えるためにこのページを作ったの?」
結局、スライドを一から作り直し。
AIのスライドジェネレーターは強力ですが、「問いを見失った資料」を量産するリスクを秘めています。
問いを磨く責任
AIは間違いなく強力なパートナーです。
ですが、問いを立て、情報を精査し、構造化し、意味を設計するのは人間の責任。
AIに「丸投げ」して得られるアウトプットは、言うなれば「それっぽいもの」です。
でもコンサルタントの価値は「クライアントの曖昧な課題を定義し、問いを磨き、納得のいく解を設計する」ことにあります。
AIは補助輪です。自転車を漕ぐのは私たちです。
おわりに:AI時代のコンサルタントの矜持
AIで効率化を追求するのは大賛成です。
でも「手間を惜しまない」「問いを磨く」「情報を構造化する」という基礎を失えば、AIは武器ではなく凶器になりかねません。
クライアントにとって価値あるアウトプットを出すために。
AIを使いこなす側の人間として、私たちは「問いを立てる力」「情報を精査する責任」を手放してはいけない。
これこそが、AI時代のコンサルタントに求められる矜持だと思います。
コメント