「人工(にんく)商売で、そんな数字が稼げるはずがありません」
先日、今年度の収益目標を提示した際、あるメンバーが毅然とした態度で私に言い放った言葉だ。
ちなみにその目標数値は、他部署の基準から見れば明らかに低く設定された“温情的な数字”である。それを理解した上で、彼は自分の未達を正当化するために、わざわざ「ビジネスモデルの限界」という高尚な論理を持ち出してきたのだ。
私がかつて同じ公共領域で泥をすすり、しっかりと数字を出してきた歴史を知っての口発言なのか、あるいは単に自分の立場が見えていないのか。どちらにせよ、私は激しい怒りとともに、深い呆れを禁じ得なかった。
「社会的意義」や「業界の限界」を盾にして数字から逃げるコンサルタントは、プロではない。ただの「言い訳のプロ」だ。
拡大基調が終わり、明確な淘汰のフェーズに入った今のコンサル業界において、稼ぐことから目を背ける人間に生き残る道などどこにもない。
【問題提起】違和感の正体――私たちが現場で直面している「直視すべき現実」
社内を丸め込むロジックを、なぜ顧客に使わないのか?
稼げないコンサルタントを観察していて驚かされるのは、彼らの「弁明のロジック」がいかに緻密で洗練されているかという点だ。
- 「今回の案件は制度的な制約が大きく、追加提案の余地がありませんでした」
- 「顧客の予算規模が小さく、社会的意義は高いものの単価アップは不可能です」
- 「市場環境の悪化により、他社も同様に苦戦しています」
彼らは市場環境、制度の壁、顧客の購買力といった外的要因を素早く分析し、自分が稼げない理由を“戦略的に”構築してみせる。
しかし、冷静に考えてみてほしい。
目標を下げるために社内(=私)を説得しようと注ぎ込まれるその圧倒的なロジック構築力と交渉力。その情熱と知性を顧客開拓や単価交渉に向けさえすれば、売上など容易に上がるはずなのだ。
力を使うベクトルが180度間違っている。彼らは顧客の課題を解決する前に、自分の保身のためにその頭脳を浪費している。社内政治で勝ち取った低い目標値に安住し、「自分は良い仕事をしている」と錯覚する構図こそが、現場を蝕む最大の病理だ。
【独自持論】なぜこの構造が野放しにされるのか? 歪みが生む「本当の危機」
「意義ある仕事=儲からない」という甘い固定観念
なぜ彼らは数字が出ない自分を恥じるどころか、どこか誇らしげに言い訳を語るのか。その根底には、「社会的意義のある仕事は、お金になりにくいものだ」という勝手な美学があるからだ。
特に公共系やサステナビリティ領域を扱うメンバーにこの傾向が強い。しかし、私はこの考え方を真っ向から否定する。
本当に社会的意義が高く、顧客に絶大なインパクトをもたらす支援をしているのなら、対価として正当な報酬を得られないわけがない。
売上という数字は、あなたが社会や顧客に提示した「価値の総量」に対する市場からの採点票だ。数字が出ていないという現実は、価値の創出、見せ方、あるいは対価を得る仕組み作りのどこかが決定的に破綻している証明に他ならない。
多くのコンサルタントが陥っている「甘い建前」と、現場で突きつけられる「冷徹なリアル」の対比を見れば、どちらがプロとして正しいかは明白だ。
| 比較軸 | 表向きの建前(稼げないコンサルの言い訳) | 筆者が看破する裏のリアル(プロとしての真実) |
|---|---|---|
| 未達の理由 | 「人工商売の限界」「制度や市場の制約」 | 社内弁明にリソースを割く「知性の浪費」 |
| 社会的意義 | 「金にはならないが、重要な仕事をしている」 | 対価に変換できていない「自己満足の支援」 |
| ロジックの使途 | 社内の目標数値を下げるための「防衛策」 | 顧客の予算をこじ開けるための「価値提案」 |
| 自らの評価 | 複雑な案件に立ち向かう「悲劇のヒーロー」 | 収益を上げず組織に寄生する「未熟な人材」 |
| 市場の変化 | 「今は耐える時期」という根拠なき静観 | 稼げない者から順番に排除される「淘汰の始まり」 |
「意義」を盾にして逃げる人間は、実際のところ価値も生み出せていない。
本物のプロは、意義ある仕事を「しっかりと稼げるビジネス」へと昇華させる仕組みを自ら構築する。数字から逃げるための言い訳を磨いている暇があったら、自分の提供価値をどう収益化するか知恵を絞るべきだ。
【生存戦略】閾値を超える前に――個人が取るべき「具体的な自衛策と決断」
プロジェクト単価の下落、クライアントによる厳しい選別、そしてファーム間の過酷な淘汰。1〜2年前のような「誰でも稼げたバブル期」は完全に終わった。
この激変の時代に、数字の作れないコンサルタントが淘汰の波を乗り越えるための「4つの自衛策」を提示する。
1. 「なぜ稼げないのか」ではなく「どう稼ぐか」に問いを変えよ
自分の思考のスタート地点をチェックせよ。「なぜこの案件は単価が上がらないのか」「なぜ顧客は金を払わないのか」という原因探しの問いは、すべて言い訳に直結する。
問いを「どうすればこの支援を1,000万円の価値に見せられるか」「どうすれば追加予算を獲得できるか」というアクション思考に強制上書きせよ。
2. 自分自身をクライアントに見立てて「現状分析」せよ
他社の課題には威勢よく仮説を立て改善案を出すくせに、自分の稼働率や案件単価の低さに対して無自覚な人間が多すぎる。
自らの時間配分、提案の成約率、案件ごとの利益率をデータとして可視化せよ。自分自身をコンサルティングできない人間に、他人の支援などできるはずがない。
3. 「意義ある仕事」を収益化するパッケージを自ら作れ
「意義はあるが儲からない仕事」が存在するのではない。あなたが「価値を金に変えるパッケージング力」を怠っているだけだ。
泥臭い作業代行で終わらせず、得られた知見を別の顧客へ横展開できる形式知(アセット)に引き上げよ。一回の支援で終わらせず、継続的に対価が発生するビジネスモデルへ組み替える努力を怠るな。
4. 社内交渉に使っているエネルギーの8割を「社外」へ向けよ
上司からの評価や社内の目標設定に対してロジックを捏ね繰り回す時間を、今すぐゼロにせよ。その頭脳と交渉力のすべてを、既存顧客の潜在ニーズ掘り起こしや新規案件の獲得へ注ぎ込め。
社内でいくら上手に言い訳ができても、あなたの市場価値は1円も上がらない。顧客から対価を分捕ってくることだけが、あなたを守る唯一の盾となる。
まとめ & 読者への問いかけ
コンサルタントという職業において、数字(稼ぎ)とは単なる利益の追及ではない。あなたが提示した価値に対する、顧客からの「信頼と感謝の証」だ。
「稼げない理由」をどれほど華麗に語ったところで、1円の価値も生まれない。
社内の目標を下げるためにその優秀な頭脳を使い続けるのか。それとも、自らの提供価値を再定義し、泥臭く対価を分捕ってくるプロへと変貌を遂げるのか。
あなたはこれからも「立派な言い訳」を語りながら、静かに淘汰されていくのだろうか?
それとも、「稼ぐ覚悟」を決めて、厳しい時代を生き残るプロフェッショナルとなるだろうか?
言い訳の原稿を破り捨て、次のアクションを起こすのは、今この瞬間だ。
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