新任マネージャー奮闘記#03:効率重視のあまり不要と感じる作業を省略しがちなTさんのケース

マネジメント試行錯誤

異動辞令を受け取った瞬間、私は言葉を失いました。全くの未経験分野、しかも業績も士気も低迷している「問題だらけの部署」への異動だったのです。足を踏み入れると、疲弊した部下たち、厳しい上司の追及、そして全体に漂う無力感――そこには、誰もが「どうにもならない」と感じる閉塞感が広がっていました。

この状況を前にして、私が最初に考えたのは「何がこの職場に本当に必要なのか」ということでした。そこでたどり着いた答えが、「個々の能力に依存するのではなく、職場全体で機能する仕組みを整えること」でした。

その一環として始めたのが 「週次1on1ショートミーティング」です。この取り組みを通じて、部下たちと短時間ながら濃密な対話を行い、彼らの課題を明確にし、解決策を見つけていくことを目指しました。

今回は、特に課題が浮き彫りになったTさんのケースについて、その詳細と改善への取り組みをお伝えします。

前回記事:新任マネージャー奮闘記#02:仕組みから始めるチーム再生の第一歩

  • Tさん
    業績管理を得意とし、ロジカルで信頼感がありますが、負担が増えるとすぐに愚痴を漏らし始めるのが課題。効率重視の性格で不要な作業を省きがちですが、チーム全体のバランスを考えた動きが求められます。
  • Iさん
    控えめな性格ながら丁寧な仕事ぶりが特徴。ただ、スピード感が不足しており、不満を内に秘めているような雰囲気が気になります。彼女には、当社の重要施策である情報発信業務を担当してもらっており、彼女のポテンシャルを最大限引き出すことが私の課題です。
  • Sさん
    システムコンサル出身でデジタルに強いが、スケジュール管理が甘く、仕事の勢いにムラがあるタイプ。部署の財務管理を任せていますが、数字にミスがあれば大きな問題につながるため、安定感のある動きが必要です。

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Tさんの特徴と課題

Tさんは、業績管理を得意とし、ロジカルな思考と信頼感のある人材です。

一方で、負担が増えると愚痴が出やすく、効率重視のあまり不要と感じる作業を省略しがちという性格が課題でした。こうした傾向が時にチーム全体のバランスを崩しかねない点が懸念されていました。

課題1:タスクリストの更新が進まない

ショートミーティングで具体的なタスクを共有し、進捗確認を行う中で、Tさん自身がタスクリストを更新しないという問題が見えてきました。

リーダーとして進捗を見える化する役割が期待されているにもかかわらず、タスクリストを他者任せにしてしまうことが、業務の全体把握や改善の妨げになっていました。

他の部下であるIさんは、初回のミーティングから趣旨や狙いを伝えると、積極的にタスクリストを更新し、新しいタスクを自ら生み出すようになりました。IさんとTさんのこの違いが職場全体の効率性に大きく影響していることを感じました。

課題2:周囲を巻き込む力の不足

Tさんは与えられたタスクには迅速に対応しますが、自ら新しいタスクやアイデアを生み出すことには消極的でした。

そのため、全体の方向性やチームの目標を意識しながら行動する「現場のリーダー」としての役割を果たすには、改善が必要でした。

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解決に向けた取り組み

  1. タスクリスト更新の習慣化
    Tさんに「タスクリストの更新はあなたの仕事であり、これがリーダーシップの第一歩になる」と改めて伝えました。さらに、リストを更新することで業務の透明性が高まり、チーム全体の連携がスムーズになることを丁寧に説明しました。

タスクリストの存在が、ただのメモではなくチームの進捗を動かす重要なツールであることを理解してもらうことに努めました。

  1. 週次ミーティングでリーダーシップを促進
    週次ミーティングの場で、Tさんにタスクリストをもとに自ら進捗を報告してもらい、タスクの時間軸やチーム全体への影響についても意識を向けてもらう取り組みを始めました。

また、彼のアイデアや新しいタスクを引き出すため、少しずつ問いかけを増やし、自発的に考える習慣を促しました。

  1. 行動を変えるための小さな成功体験の積み重ね
    大きな変化を一度に求めるのではなく、小さな成功体験を積ませることで、Tさんの自律性やリーダーシップを引き出すことを目指しました。

たとえば、チーム全体で新しいプロジェクトを開始する際、Tさんに小さな役割を任せ、その成果を評価してフィードバックを行いました。

目指すゴール:リーダーシップの育成と職場の活性化

Tさんは責任感があり、芯の強い性格を持った人材です。しかし、自律的に行動する部分や、リーダーとして周囲を巻き込む力がまだ隠れている、または控えめに見えているのかもしれません。

この「潜在能力」を引き出すために、引き続きショートミーティングや週次ミーティングを活用しながら、少しずつ行動を変えていくきっかけを与えたいと考えています。

職場改善の道のりはまだ始まったばかりですが、一歩ずつ確実に進んでいくことで、低迷していたこの部署を活気あるチームへと変えていくことを目指しています。

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