「このアイデア、どう思う?」
そう聞かれて、あなたは即座にいくつか視点を提示できますか?
それとも、「うーん、ちょっと考えさせてください」と濁してしまいますか?
コンサルタントにとって、クライアントやチームメンバーとの議論は日常です。特に、新しい企画や事業アイデアを考えるブレストMTGは、コンサルの「腕」が試される場面。
でも、事前に資料を作る必要がないからといって、本当に手ぶらでMTGに臨んでいませんか?
「忙しくて準備する時間がない」
「MTGで皆と話しながら考えればいいや」
そう思っている人は要注意です。実は、この「手ぶら」が、デキるコンサルとそうでないコンサルの、見えない決定的な差を生み出しています。
「考える時間」は机の上だけじゃない
若手コンサルにありがちなのが、「考える時間=机に座ってPCに向かっている時間」という思い込みです。
確かに、資料作成やデータ分析には、集中して机に向かう必要があります。しかし、面白いアイデアや新しい切り口は、往々にして別の場所で生まれるものです。
- 通勤中の電車の中
- シャワーを浴びている時
- 休憩中のカフェ
- 就寝前のベッドの中
こういった、体は動いているけど頭には余裕がある時間。ここにこそ、思考を巡らせる大きなチャンスが隠されています。
デキるコンサルは、この隙間時間をフル活用しています。
例えば、明日ブレストMTGがあるなら、移動中に今日一日の出来事を振り返り、「あの課題、別の角度から見たらどうなるだろう?」と考えてみる。あるいは、街中の広告や雑誌から、議論のヒントになりそうなキーワードをメモしておく。
そうやって、MTG前にいくつかの「思考の種」をストックしておくのです。
準備ゼロの「手ぶらブレスト」が非効率な理由
準備ゼロでブレストMTGに参加すると、何が起こるでしょうか?
- 議論が発散するだけ
ゼロから皆でアイデアを出し合うため、議論の軸が定まらず、時間だけが過ぎていきます。 - 新しい視点が出ない
その場で考えられるのは、当たり障りのないアイデアばかり。せっかく複数人で集まっているのに、一人で考えるのと大差ありません。 - 結局、MTG後にやり直し
成果が出ないままMTGが終わり、改めて一人でイチから考え直す羽目に。結局、二度手間となり、余計に時間がかかってしまいます。
一方、事前にいくつかの思考の種を用意しておけば、MTGは格段に効率化します。
「この課題は、『コスト』ではなく『ユーザー体験』の観点で整理するのはどうでしょう?」
「先日見た○○社の事例を応用できるかもしれません」
と、具体的な切り口を提示することで、議論は深まり、一気に具体的な次のアクションが見えてきます。
努力の質の違いに気づくということ
多くの人は、「頑張ること」や「努力」と聞くと、机に向かって長時間作業をすることだと考えがちです。それは間違いではありません。しかし、コンサルタントとして高いパフォーマンスを出すには、もう一歩踏み込んだ「努力の質」が求められます。
それは、物理的な作業時間ではない部分で、どれだけ深く思考を巡らせられるかということ。
荒木博行氏の著書『努力の地図』には、こういった考え方に通じる興味深い指摘があります。
つまり、ひたすら量をこなす「体を使った努力」は多くの人に開かれているが、「頭を使った努力」は慣れてない人にとって難易度が高い。だからこそ、低層階が努力のすべてになってしまっているケースが少なくない。
この「体を使った努力」とは、PCの前に座り、手を動かして資料を完成させる作業そのもの。もちろん大切ですが、それだけでは「低層階」に留まってしまう可能性があると、荒木氏は説いています。
一方、「頭を使った努力」とは、まさに日々の生活の中で、シャワーを浴びながらでも、通勤中でも、常に物事を「解像度高く」考え続けることです。
「私はちゃんと努力しているのに、なぜデキるコンサルになれないんだろう?」
そう感じているなら、もしかしたら、その努力が「机の上」に偏りすぎていないか、見つめ直すタイミングかもしれません。
時間は有限です。だからこそ、デキるコンサルは、全ての時間を「考える」ために活用しています。日々のほんの数分の積み重ねが、ブレストMTGでの説得力となり、あなた自身の付加価値を高めるのです。
あなたも今日から、「手ぶら」を卒業しませんか?
荒木博行 (著)「努力の地図」 単行本(ソフトカバー) – 2025/5/30
頑張るのが苦手なのは、頑張る技術を知らないからだ。
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