新任マネージャー奮闘記#02:仕組みから始めるチーム再生の第一歩

マネジメント試行錯誤

前回記事:異動先は「ダメな職場」?新任マネージャーの奮闘記#01:職場改革に挑む日々

異動辞令を受け取った瞬間、私は言葉を失いました。全く未知の部署、しかも業績も士気も低迷しているという「ダメな職場」への異動。膨大なタスクに振り回される部下たち、上司からの厳しい追及、そして漂う疲労感と無力感――そこには、まるで救いのない状況が広がっていました。

そんな職場に足を踏み入れた私は、まず「何が必要なのか」を冷静に見極める必要がありました。そしてたどり着いた答えは、「個々の能力に頼るのではなく、仕組みを整えること」。

こうして始めたのが 「週次1on1ショートMTG」です。

とはいえ、ここで言う1on1はよく耳にする「部下の話を聞く場」とは異なります。私のアプローチは、部下と一緒にタスクを可視化し、整理し、優先順位を明確にするというもの。いわば「チームの動力を再構築する作業」そのものです。

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1on1の効果的な進め方を学べる本。部下の潜在能力を引き出すコツや、ショートMTGの活用法をさらに深掘りできます。

反発を恐れながらも踏み出した一歩

初めてのショートMTGを提案する際、内心では不安が渦巻いていました。

「こんな細かいミーティングを増やすなんて」「忙しいのに余計なことを」など、反発されるのではないかと。しかし、思い切って始めてみると、意外なほどスムーズに進行しました。

部下たちはそれぞれ、自分のタスクは把握しているものの、締め切りや優先順位に迷いがあることが見えてきました。

特に、誰もが顧客という明確な外部圧力を持たない部署ならではの問題として、締め切りがあいまいになりがちだという点が浮き彫りになりました。ここで、上司である私が外部的な視点から明確な期限を設定し、優先順位を示すことで、部下たちの作業効率が驚くほど改善されていったのです。

Iさんとの成果:背中を押す「大義名分」の効果

特に印象深かったのは、慎重派で知られるIさんとのショートMTGです。

彼女は丁寧で信頼感のある仕事ぶりが評価されているものの、進捗が遅れがちという弱点がありました。しかし、彼女の問題点は「能力不足」ではなく、「行動のきっかけ」だったのです。

ショートMTGを通じて、私が具体的な期限を設定するようになると、彼女は「上司の指示」という大義名分を得て他部署と積極的に調整を始めました。それによって作業のスピードが上がり、自信を持って仕事を進められるようになったのです。

Iさんの変化は、部下のモチベーションを引き出すには、適切な指示とサポートがどれほど重要かを再認識させてくれました。

  • Iさん
    控えめな性格ながら丁寧な仕事ぶりが特徴。ただ、スピード感が不足しており、不満を内に秘めているような雰囲気が気になります。彼女には、当社の重要施策である情報発信業務を担当してもらっており、彼女のポテンシャルを最大限引き出すことが私の課題です。

課題が残るSさんとTさん:次なる挑戦

一方で、SさんとTさんにはまだ課題が山積しています。今週の2回のショートMTGは素直に受け入れてくれましたが、そして、意識をもって行動を起こしてくれているようであるが、なかなかまだ明確な行動が見えてこない…

ショートMTGでもタスクリストを作成して提示したものの、自らの工夫を追記しつつ、自主的に進めていく姿・姿勢がなかなか見えてこないところです。この2人へのテコ入れが来週は必要と感じています。ポイントとして、タスクを可視化すること、期限を切って確認すること、とにかくアクションを起こさせること。

この基本行動をしっかりと根付かせるように、来週の実験として行っていきたいと思います。

  • Sさん
    システムコンサル出身でデジタルに強いが、スケジュール管理が甘く、仕事の勢いにムラがあるタイプ。部署の財務管理を任せていますが、数字にミスがあれば大きな問題につながるため、安定感のある動きが必要です。
  • Tさん
    業績管理を得意とし、ロジカルで信頼感がありますが、負担が増えるとすぐに愚痴を漏らし始めるのが課題。効率重視の性格で不要な作業を省きがちですが、チーム全体のバランスを考えた動きが求められます。

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ショートMTGに最適なコンパクトなホワイトボード。部下のタスクや期限をその場で書き込み、視覚化して共有できます。

次なるステップへの期待

現在、ショートMTGは週2回、1回30分程度で実施中です。初動としては想像以上の成果が見られ、特にIさんのやる気と工夫が目に見えて向上してきました。一方で、他のメンバーにもしっかりと「仕組み」を根付かせ、チーム全体の動きをスムーズにするためには、もう少し試行錯誤が必要です。

1か月後には、チーム全体が一体となって動き始める――そんな未来を描きつつ、引き続き奮闘を続けます。

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視覚的にタスクを整理することで、チームメンバー全員が優先順位や進捗を一目で確認できます。会議の際にも活躍する便利なツール。

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